「グリーンブック」という映画を、
テレビで観ました。

実話に基づいた映画だと言うので、
録画して見たんです。

実話に基づいた作品は、
できるだけ見るようにしてるので。

映画「グリーン・ブック」は、
アカデミー賞やゴールデングローブ賞など
数々の賞を受賞している評価の高い映画です。

大まかなストーリーは、
黒人ピアニストのドン・シャーリーの下で
イタリア系白人男性トニーが車の運転手として
8週間働く話です。

1936年から1966年まで
毎年出版された旅行ガイドブックが、
グリーンブックという名称です。

グリーンブックは、
普通の旅行ガイドブックではありません。

黒人が利用可能な施設を記したもので、
タイトルはここからきています。

アメリカの歴史を知らずに
グリーンブックとだけ聞くと、
言葉のイメージからは
平和で豊かな印象を
受けるかもしれません。

けれど、アメリカの
黒人差別の過酷さを知る人には、
人種差別のシンボルのように
感じるのではないでしょうか?

あまり期待せずにこの映画を見たのですが、
最後まで見終わったときにはとても感動し、
その後何度も録画を見直してしまいました。

白人男性トニーは、
酷く黒人を毛嫌いしていました。

もっと言うと、
同じ人間として見ていなかった
と言っても過言ではない程だったのです。

だから8週間も
黒人ドン・シャーリーの下で働いていたら、
何かしらトラブルが起こるのではと
周囲は心配したくらいです。

ドン・シャーリーは名誉博士号を持つ
超一流のピアニストで、
豊かな教養と品格を持ち合わせた人物です。

同性愛者でもありました。

黒人というだけでも差別を受けているのに、
同性愛者ということにもなれば、
当時は問答無用で逮捕される
危険もあるほどの状況でした。

ドン・シャーリーは、
アメリカ北部では賞賛され、
高額な報酬が得られました。

けれど人種差別の激しいアメリカ南部では、
人間的に扱われず散々な目に遭うのです。

それを承知でドン・シャーリーは、
アメリカ南部へ演奏旅行に行ったのです。

20世紀半ばのアメリカは、
黒人が泊まれる宿は限られていたし、
夜中に黒人が外を出歩くだけでも逮捕されたり、
飲食店に入ると嫌がらせや暴力を受けたり
といった社会でした。

特にアメリカ南部は、
この傾向が酷かったのです。

ドン・シャーリーが、
敢えてアメリカ南部に演奏旅行に行ったのは、
人種差別の悪習の壁を打ち破りたい
気持ちからがあったからでした。

一方トニーは粗野で無教養な
ナイトクラブの用心棒。

マナーや哲学などとは無関係で、
目の前の問題を腕っぷしの強さと
口先のうまさで解決していくタイプの
イタリア系白人男性です。

クリスマスも近い時期に、
トニーが勤めていたナイトクラブが、
改装工事のため閉鎖されてしまいます。

新たな仕事を探していた時に、
ドン・シャーリーの
用心棒をかねた運転手の仕事が
舞い込んできました。

トニーは黒人を毛嫌いしていましたが、
質屋通いするほど経済面で不安があったため、
しかたなく仕事を引き受けました。

人種も教養も人生観も
何もかもが違う二人は、
8週間の演奏旅行の間に、
様々なトラブルに遭いながらも
乗り切ってゆきます。

トニーは徐々に、
ドン・シャーリーの才能と人格を
敬愛するように変わってゆきます。

非常に知性的なドン・シャーリーの方も、
演奏旅行を共にするうちに
トニーの影響を少なからず受けました。

クリスマスイブの帰宅を目前に、
悪天候などのトラブルで
運転手のトニーは疲れ切ってしまい、
家に帰るのを断念したいと言いだします。

でも、ドン・シャーリーが
トニーに代わって車を運転し、
疲れたトニーを寝かせたまま、
クリスマスイブに間に合わせるよう
トニーを家族のもとに送り届ける場面には、
心を揺さぶられました。

これだけ聞くと、
単なるヒューマンドラマか
と思うかもしれません。

けれど映画「グリーンブック」は、
人種差別、格差社会、LGBT、教育格差など
多くの問題を気づかせてくれました。

ヒューマンドラマでもあり、
社会派ドラマでもあり、
ユーモアと悲哀もありの
盛りだくさんの見ごたえのある映画です。

私は特に映画通でもないので、
普段は人に映画を薦めたりすることは
ほとんどありません。

でも「グリーンブック」は、
あまりにも感動が大きかったので、
周囲の人たちに話さずには
いられませんでした。

この映画は沢山の賞を受賞しているので、
既にご覧になった方も多いかもしれません。

でも、まだご覧になっていない方は、
ぜひ一度は見るべき映画だと思いました。